怪談を語る会、ホラー短編集
[招かれざる者](1/1)
Fが語り始めた。全員、真剣に耳を傾けていた。でもすぐにAはあることに気がついた。
落ち着け、とAは思う。誰かの悪戯か? いや、違う、と判断する。これは悪戯なんかじゃない。
Aは素早く立ち上がり、壁にはりつく。腕を壁に這わせて、手をパーにして電気のスイッチを探る。
おかしいな、電気のスイッチは確かにこの辺にあったのに。
Fの話は続いている。A以外の者は真剣に話を聞いている。蝋燭の頼りない光が5人の顔を照らす。
5人……。やはりそうだ、僕は間違ってなかったんだ、とAは確信する。それと同時にドッと汗が出る。身体が怯えている。
スイッチを見つける。Aは力を込めてそれを押した。電気が点く。暗い部屋から一気に明るい部屋に変わったため、全員が目を細めた。手で影を作った。Fの話は止まった。
「おい、なんだよ」とEは言った。「急にどうしたんですか?」とBは尋ねた。
「気がつかなかったのか?」とAは真っ青な顔をして言った。
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