怪談を語る会、ホラー短編集
[廃病院](1/2)

「今から話すのは俺が心霊スポットで体験した実話。

ある日、彼女と地元の廃病院に行くことにした。そこは霊が出るっていう噂で有名だった。

俺たちは夜の11時に懐中電灯と水の入ったペットボトルを持って病院に入った。暑い夜だったからね、水は欠かせなかったんだ。

でもいざ廃病院に入ってみると、暑さなんて気にならなかった。それだけ集中していたんだね。

歩くと割れたガラスを踏む音が響いた。じゃり、じゃりってね。電気が通ってないから非常口の誘導灯は沈黙していた。とにかく怖い雰囲気が充満してたね。

俺を先頭にして歩いていると、突然彼女が『きゃっ!』って言った。どうした? って訊くと、『今廊下の先に女の子がいた』って言うんだ。

質の悪い冗談は勘弁してくれよ、と俺は思ったね。廊下の先に懐中電灯の光を浴びせたけど、もちろん誰もいない。俺は足を進めたよ。

二つの懐中電灯の光線が走る。ごくごくと水を飲む音が聞こえる。彼女は緊張して喉を渇かしていたんだ。俺とは逆だね。俺は喉なんか全然渇かなかった」

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