今日のお菓子は三題噺
[「大掃除」「サンタクロース」「勉強」](1/2)

 今、目の前で63歳の親父がサンタクロースの格好に着替えている。

 両親は幼い頃に離婚していて、僕は母親を知らない。世間一般には父親と母親がいるものだけれど、父親一人に育てられたものだから、さほど違和感は覚えなかった。

 学校行事でいえば、運動会は家族や親戚と昼食を共にする人が多かったけれど、僕の場合は父親が一人くるだけだった。それも、最初から最後までいるわけじゃない。授業参観なんて来たためしがない。みんな自分の勉強姿勢を親にアピールしていたが、僕にしてみたら全くのくだらない行事だった。

 父親はとにかく忙しかった。仕事はサービス業で、特に行事のあるシーズンは鬼のように働いていた。家を一日二日空けることがあった程だ。小学校低学年までの頃は、そんなとき臨時で家政婦を雇っていたが、僕が小学四年になった時に僕の方から家政婦を呼ぶことを断った。家政婦の母親ずらにひどく吐き気がしたからだ。

 そんな様子で、僕は今思えば多少なりとも苦労した人間なんだと思う。それを父親はえらく気にしている。俺は立派な父親じゃない、俺は子供一人まともに育てられなかった、飲んで酔っ払った時によく言う台詞だ。

 確かに、これまた世間一般でいう父親の職務を全うしたかといえば、断言できない。僕は何かのカウンセリングで親の愛情不足を指摘されたことがあった。時たま感情が爆発するからだ。でも、あらゆる条件を考慮するならば、僕は立派な父親だよ、と自信をもって言える。

(続きます)

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