今日のお菓子は三題噺
[「写真」「キャンディ」「トラブル」](1/1)

 男はある日突然写真になった。写真になったと言っても、誰かに撮られて写真が出来上がったとか、そういうことではない。

 写真には男とウェディング姿の女性が映っている。二人の笑顔からは幸せが溢れ出ていた。

 写真になった男は、人間という生命体から写真という非生命体に変身したわけだが、非生命体と断言するにはいささか相応しくない。何故なら男にはちょっとした意識があったからだ。

 幸福感、それが男の意識を支配していた。普通なら突然のトラブルに狼狽したり、絶望したりするだろう。身動きができないわけだから、破壊行動、例えばキャンディを舐めていたら思わず噛み砕きたくなるような気持ちに駆られる。しかし、先程言ったように、幸福感しかない。自分が写真に変身したといういうにもかかわらず。

 どうして男は幸福感で満たされているのだろうか? 写真への変身自体に幸福感はないわけだから、変身する前の状況によると私は推測する。

 とにかく、男は幸福だった。お分かり頂けただろうか? 男の幸福は永遠だ。写真に映った笑顔が決して歪まないように。そう、写真はワンシーンを記録する。撮られる者がしかめ顔なら不機嫌に映り、笑顔なら気分よく映る。その時の表情は変わることはない……。

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