今日のお菓子は三題噺
[「人参」「挨拶」「ベランダ」](1/2)

 友人が僕の家を訪ねて来た。その友人は高校の時からの付き合いで、大学生になっても関係は続き、僕がドロップアウトしてからもこうして付き合いをしてくれている、数少ない貴重な友人だった。

「やあ」

 と挨拶してから、彼は家に上がった。僕はベランダに腰を下ろし、彼はテーブルの前の座布団に座った。ベランダには、太陽が暖かい日差しを注いでいた。四月上旬にしては暖かい。確かお天気お姉さんは五月下旬並の気温になるって言ってたっけ。

「仕事はどうだい?」と僕はベランダから見える軒並みやカラスの泳ぐ姿や通り過ぎる人たちを眺めながら尋ねた。

「やっと仕事の内容を覚えてきたところかな。初日は大変だったよ。通勤中ずっと緊張で吐きそうでさ」

 僕は少し驚きの表情を浮かべ、思わず友人を見て「お前でもか?」と言った。友人はそんな繊細な人間ではない。緊張とか、それからくる吐き気とは無縁だと思っていた。

「誰だってそうさ。初めての出勤はみんな緊張する。ちゃんと仕事できるかな、覚えられるかな、職場の環境はどうだろう、とかさ」

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