今日のお菓子は三題噺
[「おでん」「こたつ」「みかん」](1/1)

 こたつに入りながら、みかんの皮を剥いていた。僕の向かいに座る彼女も、同じくみかんの皮を剥いていた。

「私ね、大学の先輩に告白したの」
「おお。それで、結果は?」
「わかるでしょ?」

 彼女は普通の顔をしている。とびっきり可愛いわけではない。その事を言ってるのだ。

「ふられた?」
「うん。駄目だった」

 彼女はみかんを一つ引き離し、それを口に運んだ。僕もみかんを口の中に入れた。果肉を噛むと汁が出て、甘酸っぱい味が口に広がった。

「もう四年も彼氏なし。嫌になっちゃう。もうずっと彼氏なんてできないのかな」

 それから沈黙。みかんを食べ終えると、僕は「ねえ」と言った。

「なあに?」
「おでんの具でツブ貝ってあるよね? あれは一般的になかなか人気がない。でもね、中にはツブ貝を買う人だっているんだ」

 彼女は笑った。

「あなたなりに励ましてくれたんだね。ありがとう」

 僕は「どういたしまして」と言って、バスケットのみかんの山に手を伸ばした。

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