ヤドカリ男
★ [影の反乱](4/4)

「何をする!」

 影は転げ落ちた男に近付き、胸ぐらを掴み、顔面に三回パンチをした。彼はようやく抵抗をした。影の顔面に仕返しのパンチをし、影の足を蹴った。

 僕は彼を助けようと、立ち上がった。その時、異様な光景が目に入った。みんな影と戦っているのだ。ある者は影と蹴り合い、ある者は影が馬乗りになり、一方的に殴られていた。まるでファンタジーチックな絵画を見ているような気分だった。

 とんとん、と僕の肩を誰かが叩いた。僕は振り返る。そこには立体となった影がいた。僕は自分の足下を見た。影がない。

 次の瞬間、顔面に痛覚が走った。殴られたのだ。僕は倒れた。影が歩み寄る。

「今日は春だな。支配からの脱却だ!」

 影はそう言うと、馬乗りになり、顔面を殴ろうとする。僕は顔を腕で覆って防御した。

「何故、反乱を起こす!?」
「影は生きているんだ。いつまでも支配できると思うな!」

 僕は上半身を起こし、影に不意のパンチを浴びせた。影が一瞬たじろいだ。しかしそれだけだった。影は本気になり、僕の首を両腕で握った。苦しい……。

 男は影の両腕を掴んでいたが、やがて力を失い、腕は地面に落ちた。

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