ヤドカリ男
■ [ヤドカリ男](7/7)

 ピエロは後ろに手を回した。そして腕を前に持ってくると、手にはトンカチが握られていた。

 ピエロはトンカチを僕に渡し、「それで、オイラは思ったんだけど、そのトンカチで――」、僕はトンカチで殻を叩いた。

「わあお! 少年よ、マジか! まさかとは思ったけど、本気でやるとは、オイラびっくりだよ」

 殻が砕けてきた。僕はトンカチで叩き続けた。砕けた殻が地面にぱらぱらこぼれる。ぴきっぴきっと音が鳴る。順調に身体が砕けると、ヤドカリ男の白い身体が見えた。そして、遂にヤドカリ男は殻から解放された。

 ヤドカリ男は立ち上がり、伸びをした。

「軽いよ。殻がないとすごく楽なんだね」とヤドカリ男は言った。「君が殻を壊してくれたんだね? ありがとう」

 僕は微笑んだ。ピエロは珍しく黙っていた。

「走りたい気分だよ。ちょっと走ってこようかな」

 そう言うとヤドカリ男は走り出した。全裸で。

「いやあ、ヤドカリ男は救われたみたいだね。こんな解決法があったとは思いもしなかったよ。さあ、次行こうか。次」

 僕たちはまた歩き始めた。

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