ヤドカリ男
■ [ヤドカリ男](2/7)

 引っ越して間もない頃、僕は新しい街の事を知ろうと自転車で走り回った。

 山道を走った。坂道を立ち乗りで上って行く。足が痛んだ。

 山道を進むと古びたトンネルがあった。時刻は昼だったけれど、トンネル内は真っ暗だった。僕はトンネルの中に入った。トンネル内はひんやりとしていて空気が違った。

 トンネルを出ると街が広がっていた。煉瓦造りの綺麗な家が何軒も建っていた。ここはどこなんだろう? えらく古めかしい街だ。

 僕は自転車を押しながら街の中を歩いた。すると、建物の影からピエロが顔を出した。真っ白な化粧に目の周りは黒で星形に塗られ、鼻には赤いボールみたいな物が付いてる。

「やっほ!」とピエロは手袋をした手を挙げながら言った。僕は「どうも」と言った。

「見ない顔だね。うん、見ない顔だ。迷い込んだのかな?」
「いえ、探検してただけです。迷ってません」
「そっか! 探検、それはいい。楽しいよね。この先に何があるのか……進んでみればわかるさ。そこには何かがある。君は何を見つけた?」

 僕は考えてから、「ピエロを見つけました」と言った。

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