怪談を語る会、ホラー短編集
[廃病院](2/2)

「全ての部屋とはいかなかったけど、三階全部を回ることはできた。結局俺は霊を見ることはできなかった。

彼女が『飲まないなら水頂戴』って言ったから、俺はペットボトルを渡した。彼女ったら、馬のように水を飲むんだ。

こんなもんか、と少々落胆しながら三階から一階へ向かって階段を下りていると、突然ひんやりとした手が俺の手を握ったんだ。

『なんだよ、びっくりするじゃねえかよ』と言って振り返ると、彼女はきょとんとして『何が?』って言った。

俺はこの時気付いたんだ。これは彼女の手じゃない。だって彼女の両手は懐中電灯と二本のペットボトルで埋まってるんだもんな。

俺は慌てて手を離し、懐中電灯で霊がいると思われる場所を照らした。

何もいなかった。

俺は安心したよ。それで前を向いたんだ。そしたらいたんだよ、階段の下に女の子が。突っ立ってた。そして、にやっと笑ったんだ。暗かったけどわかった。

俺は慌てて階段を駆け上った。彼女はびっくりして、涙声で『どうしたのよ!』って言いながら俺のことを追ってきた。

それから俺たちは黙って、足早に別の階段を使って一階に下りた。そしてすぐに廃病院を出たよ。

――俺は今でもしっかり覚えてる。さっき握られたみたいに、手に冷たい手の感触が残ってるんだ」

Eは「これで俺の体験談は終わり」と言った。

全員が感想を述べたあと、Fは言った。

「Fです。僕で最後ですね。話してもよろしいでしょうか?」

「どうぞ」とAは言った。

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