怪談を語る会、ホラー短編集
[黒ずくめの男](2/5)

「でも田中は何も尋ねず、一人ボール遊びをしました。黒ずくめの男は、じっと動かず、道路の真ん中に立っていました。

次の日も黒ずくめの男はいました。次の日も次の日もです。

祖父の体調はというと、日に日に悪化していきました。

祖父の体調が悪くなる一方で、やはり黒ずくめの男は近くも遠くもない場所にいました。田中は気味が悪くなって、親に変な人がいる、と報告しました。でも親は取り合ってくれません。

それから数日後、遂に祖父は力尽きてしまいました。苦しまずに、すーっと息を引き取ったそうです。

田中は周囲の重い雰囲気が嫌で、外に出ました。その日も黒ずくめの男はいました。いましたが、いつもと違ってかなり家に接近していました。

そして、初めて黒ずくめの男と目が合いました。その瞳はとても冷たく、田中は蛇に睨まれた蛙のように、その場から動けなくなりました。

田中をじっと見ると、黒ずくめの男は何か言いました。口の動きから、最初に「ご」と言ったのはわかりました。でも後はなんと言ったのかわかりません。

それから黒ずくめの男は田中に背を向けて、その場を去りました。田中は恐怖のあまり、小便を漏らしていました。しばらく動けなかったそうです」

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