今日のお菓子は三題噺
[「ふくらはぎ」「つり目」「指紋」](1/1)

 私の彼は優しい人だけれど、たびたび痛々しいというか、見ていて苦しくなる。この前なんか、必死に私を慰めようとしていて思わず笑っちゃった。

 私が友達に容姿をバカにされて落ち込んでいると、彼はこう言ってくれた。

「でもさ、君みたいにふっくらしたふくらはぎの方が健康的でいいよ。モデルのような骨と少しの肉しかないようながりがりは嫌だな。女性の包容力というか、母性がでるだろう? ほら、聖母マリアだってさ、どの画家が描いてもふくよかじゃない? だから、僕はふくらはぎもそうだけど、多少ふっくらした方が素敵だと思う」
「でも、聖母マリアみたいな目してないんだよ。目まで馬鹿にされた。つり目だって。そりゃあわかってるけどさ、私がつり目だって。言われるまでもなくね」

 すると彼は私の目をじっと見ながら少し黙った。何を言い出すのか、検討も付かない。

「うん、確かにつり目だ。けどね、その強気な表情が僕はいいと思うな。ほら、女性は優しさだけじゃなく、時に厳しさも必要だろ? その目元は君に母性だけが魅力じゃないことを伝えてると思う。むしろ、スパイス的な作用というか、強気な表情をしていながら母性全開って、そのギャップたまらないよ」

 母性母性とうるさいなあ、と思いながらも、必死に慰めベタ褒めする彼が面白くて、私は意地悪をしたくなった。

「でもねでもね、見てこの指。私指紋が消えてるの。そしたら友達ね、犯罪者の指だって」

 私は指を見せながら深刻そうに言うと、彼は指をまじまじ見ながらこう言った。

「き、危険な香りもわ、悪くはないね」

 あまりにも意味のわからないフォローに私は大爆笑。本当に笑った。それでね、私、彼とは別れたの。

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